タッチ操作に対応した画像ビューワーをJavaScriptで作るならD3.jsが便利
スマホやタブレットで写真を表示していると、ピンチでズームしたり、ドラッグで移動したりができて便利なので、あれを Web 上で実現してみたくなった。
最近のブラウザーでは touchstart
や touchmove
イベントでタッチ情報を取れたり、イベントの touches
でマルチタッチを扱えたりするので、実現するための基盤はそろっている。
適当なライブラリーがあるかと思って探してみたが、意外と苦労してしまった。
Hammer.js が使えない
タッチを扱うためのライブラリーとしては Hammer.js がメジャーらしい。スワイプ・ピンチ・ドラッグなど、各種イベントにも対応していて、これを使えば一発解決してくれそうだ。
ところが、画像ビューワーを作るには不向きだった。困ったのは次の 2 点。
- ピンチやドラッグは個別には動くが、組み合わせたときに「表示位置」と「倍率」の関係を自前で計算する必要がある
- 人差し指でドラッグしながら親指を追加してピンチすると、ピンチイベントは来るもののスケールがいい加減 (ドラッグ開始位置を基準に算出している気配)
いちおう公式のサンプルに pinchzoom.html というものはあるんだけど、動かしてみると分かる通り、毎回、移動の初期位置は初期化される。
コードも読んでみたが、複雑なものを作るには少し不向きである予感がした。
D3.js の d3.behavior.zoom で万事解決!
自前で実装するにしても難しそうだし、しばらく途方に暮れていたのだけど、D3.js の Zoomable Geography のサンプルを見たら、見事に希望の動作を実現していた。
ドラッグ中にピンチしてもきれいに動いている。マウスのドラッグやホイールにも対応してたり、ダブルクリック・ダブルタップでの拡大もしてくれる。Nexus 7 と Windows 8 + Google Chrome で動作することを確認した。すばらしい。
しかもサンプルのコードが超絶短い。どうやら、D3.js の d3.behavior.zoom()
がタッチ操作を全部面倒みてくれるようだ。
画像ファイルでやってみた
そこで、試しに自分も作ってみた。本家のサンプルは SVG だけども、こっちのサンプルは単なる画像を CSS3 の 2D Transform で動かしている。
↑をピンチで拡大縮小、ドラッグで移動できるよ。
まとめ
D3.js がタッチ操作に対応してるのは、たぶんビジュアライズ結果を拡大・移動したいからだろう。他にも同じようなことを実現するライブラリーはありそうなのだが、意外と見つからなかったので記事にしておく。
D3.js については D3.js の Data-Driven な DOM 操作がおもしろい もご覧あれ。そうそう、このエントリーは d3.js Advent Calendar の 13 日目の記事だったりもする。
ソースは以下に (40行)。2D Transform では transform-origin
の設定が必要なところで少しはまった。
<!DOCTYPE html>
<meta charset="utf-8">
<style>
html,body {
margin: 0;
width: 100%;
height: 100%;
overflow: hidden;
background: white;
}
</style>
<body>
<script src="http://d3js.org/d3.v3.min.js" charset="utf-8"></script>
<script>
var zoom = d3.behavior.zoom()
.scale(1)
.scaleExtent([.1, 10])
.on("zoom", zoomed);
var svg = d3.select("body")
.call(zoom);
function zoomed() {
var t = "translate(" + d3.event.translate[0] + 'px,' + d3.event.translate[1] +"px) " +
"scale(" + d3.event.scale + ',' + d3.event.scale + ")";
d3.select("img")
.style("transform-origin", "0 0")
.style("-moz-transform-origin", "0 0")
.style("-webkit-transform-origin", "0 0")
.style("-o-transform-origin", "0 0")
.style("-ms-transform-origin", "0 0")
.style("transform", t)
.style("-moz-transform", t)
.style("-webkit-transform", t)
.style("-o-transform", t)
.style("-ms-transform", t);
}
</script>
<img src="/images/logo-blog.png">
</body>